親子の葛藤を乗り越えるには?

「子供は親を選べない」?

さて、世間ではいつからか、「毒親」なる言葉が多く聞かれるようになってきた。そう言われてみると、うちの親も毒親かもしれない──そんなふうに思えてくる人もいるかもしれない。実際、親子の葛藤、特に子供から親に対して、何らかの不満や葛藤を抱えているというケースは少なくないだろう。

「子供は親を選べない」とも言われるが、一方、「人は生まれる前に天国で親子の約束をしている」という説もある。つまり、自分で親を選んで生まれてきている、というのだ。

人は、あの世とこの世を何度も生まれ変わりながら、魂の成長を目指している──そうした霊的人生観に立つと、実は、親子の約束をして生まれてきた、というのが真相だ。あるいは、結婚相手や親友など、この世で出会う縁ある人の多くは、あの世で約束して共に生まれてきた、ソウルメイトである可能性が高い。

それを考えると、今回の人生で縁あって親子になった者同士、何とか葛藤を乗り越えて、お互いの人生をよりよいものにしていきたいものだ。

「愛の貸借対照表」

「だけど、うちの親、マジで毒親なんですけど」──そう言いたいあなたに、試してほしい方法がある。それは、「愛の貸借対照表」と呼ばれるものだ。

まず、紙を用意して、左側に「親にしてもらったこと」、右側に「親にしてあげたこと」を書いていく。

あまりにも単純すぎて拍子抜けした人もいるかもしれないが、この、ごくシンプルな方法が、やってみると意外に効く。

親にしてもらったことなんか何にもない、と思っている人でも、よくよく思い出してみれば、赤ちゃんだったはずの自分が、今こうして一人前の顔をして人生を生き渡っているのは、誰かがお世話をしてくれた結果であることに気づくはずだ。

今、葛藤を抱えている親だとしても、幼い頃を思い返せば、かわいがってくれた思い出の一つや二つは出てくるだろうし、あるいは写真や動画を撮ってくれた記録も残っているかもしれない。そんな小さな思い出の一つ一つを、表の左側に記入していくのだ。

それに対して、自分が親にしてあげたことは、何かあっただろうか。幾つかは思い出せるかもしれないが、それは、親がしてくれたことに比べれば、はるかに少ないことに気づかされるのではないだろうか。

もし親に対して何らかの葛藤があるのであれば、ぜひ、この「愛の貸借対照表」を、騙されたと思って試してみてほしい。

「愛は幸福の卵」

今回、親子の葛藤を例に挙げて述べたが、この「愛の貸借対照表」は、それ以外の人間関係においても有効だ。

伴侶、兄弟姉妹、学校の先生、友達、職場の同僚、上司や部下、などなど。あるいは、対象を決めずに、人生全般において誰かからしてもらったことと誰かにしてあげたこと、というのでもよい。

自分が与えられてきたものの大きさと、それに比して、自分が与えてきたものの小ささに気づいた時、感謝の思いが湧き上がり、これからは少しでも人に何かをしてあげたい、与えられてきたお返しをして生きたい、と願う気持ちが生まれるのではないだろうか。

誰かに対して、「こうしてくれなかった」「こうしてほしかった」と、いくら思い続けても幸せにはなれないが、「愛の貸借対照表」の実践を通して、心の向かう方向を180度転換させ、「もっと自分から相手にしてあげられることがあるのではないか」と考え始めた時、それが幸福への第一歩となる。

「愛は幸福の卵」という言葉もある。人から愛を奪うのではなく、人に愛を与えることによって幸福になれる、という法則があるのだ。

共に縁あって生まれてきたソウルメイトたちと、よりよい関係を築きながら、互いに幸福な人生を歩みたいものだ。

参考書籍:『人を愛し、人を生かし、人を許せ。──豊かな人生のために──』