「僕の彼女は魔法使い」コラム ─透明な心─

映画「僕の彼女は魔法使い」。
この映画の見どころの1つは、人間である竹中優一という青年が、「魔法使いの修行」をするシーンがあるところです。
その中のひとつに、水盤に向かって精神統一をする、というものがあります。
この水盤は人の心の状態を表すもののようで、
小石が投げ込まれたように波打ったり、ゴボゴボと泡だったり…。
一見好青年の優一も、けっこう心が乱れているのね…と意外に感じるシーンでもあります。
心を透明にしていく修行は、「白の魔法使い」になるために避けては通れないもの、なのでしょう。

人の心は、目に見えません。
態度や表情で多少読み取ることはできるかもしれませんが、限界がありますよね。
「心の修行」が大切な仕事である私にとっては、この水盤、うちにぜひとも置いておきたい…と切に願った次第です。
というのも、「自分の心が今どういう状態か、自分で悟る」ということが、意外ととっても、難しいからです。

心というものは、表面意識と潜在意識とに分かれているといいます。
表面意識とは、自分が「自覚」できる心の状態のこと。
「お腹すいたな」とか「あの人嫌い!」とか、「○○がしたいな」とか、普段考えていること、思っていること。
厄介なのは「潜在意識」のほうで、こちらは表面的には現れてこないので、なかなか自分自身で「自覚」することができません。
優一がチャレンジしていた「心のコントロール」も、
実は深い部分の「潜在意識」のほうだったのではないか、と感じています。

潜在意識まで心を深く見つめていくには、それ相応の修行環境が必要です。
なかなか、自分の家で、日々の暮らしの中で…というわけにはいきません。
静かで精妙な空間。この世的なものを遮断すること…スマホはもちろん、さわれません。
そして、「本当の自分」と真正面から向き合おうとする真摯な態度や真剣さ。
また、修行をしっかりと導いてくれる、「師」の存在も大切でしょう。
この世とは違う特殊な聖なる空間の中で、老師に導かれ、「風花のために」という相手を思いやる純粋な心で修行に臨む優一は、だからこそ、「魔法使い」として目覚めていくことができたのではないかと思うのです。(静)